2025 年 20 巻 3 号 p. 303-316
単孔式透水試験は,試験区間長Lと試験孔径Dの比L/Dが近傍に不透水層がないときで4以上,近傍に不透水層があるときで2以上という条件の試験孔で実施することが地盤工学会基準で規定されている。しかし,緩い地盤等では条件を満たせないことで試験孔の再掘削を要することがある。これらのL/Dの条件は透水係数の算出式の適用条件に由来するが,より短い試験区間での適用性に関する議論はなされていない。そこで,本研究では,算出式を導出する際の前提条件および実際の試験条件に基づく形状の単孔による透水試験を浸透流解析で評価し,試験区間長Lが小さくなるL/Dでの算出式の適用が可能か検討を行った。その結果,算出式の新たな適用範囲としてL/Dが近傍に不透水層がないときで1.36以上,近傍に不透水層があるときで0.68以上での適用性が確認でき,試験孔形状の制約が緩和される可能性が示唆された。