河川堤防における浸透流による堤体内部の内部侵食および越流侵食に伴う変状を検知する方法として,振動型光ファイバ計測であるDAS(Distributed Acoustic Sensing)の適用性を室内実験で検証した。まず,小型土槽を用いた要素実験から,土粒子が移動する際の振動波形の特徴を調査した。次に,全断面の大型堤体模型を用いた越流破堤実験において,湛水位上昇から破堤に至るまでの過程についてDASによる振動計測を行った。その結果,DASでは土粒子の移動現象を片振幅のスパイク状波形,すなわち,5ms~10msの短い時間に発生する光ファイバケーブルの伸び変位として捉えることができ,この波形を積分して得られる変位量は0.1μm程度と微小なものであることが判明した。また,越流侵食が発生した場合には,DASでは大振幅の連続型波形が捉えられることが分かった。