2025 年 20 巻 3 号 p. 405-414
補強土壁が日本国内で最初に施工されてから約半世紀が経過し一般的に広く普及している。しかし,施工実績の増加に伴って,北海道内で構築された補強土壁の一部で壁面パネルの変形などが報告された。そこで,国土交通省北海道開発局(以降,北海道開発局)が構築した補強土壁の実情を整理するとともに,北海道内の補強土壁関係者(発注者,設計コンサルタント,施工業者,補強土壁メーカー,北見工業大学,寒地土木研究所)が相互に意識共有を図る場(以降,補強土壁わかってん会)を創設した。補強土壁わかってん会での議論の結果,受発注者が情報共有すべき項目を相互確認する補強土壁チェックリストが品質確保に有効であるとの認識の上で,北海道開発局が発注する補強土壁の業務や工事において,受発注者の協同関係の構築と対話を促すツール,および品質管理の一助として補強土壁チェックリストを導入した。