抄録
固化処理地盤の動的特性に与える地盤物性の不均質性の影響を調べるための基礎的研究として,地盤の不均質性を単純化して再現した重力場における振動台実験を行った。実験では模型地盤をメッシュ状に分割し,改良要素と未改良要素の二つに単純化してモデル化した。得られた主な結論は,以下の通りである。1) 改良要素の存在により,未改良要素に生じる過剰間隙水圧は抑制される。例えば,地盤全体の60%以上が改良要素の場合には,入力加速度が400Galでも未改良要素に生じる過剰間隙水圧は液状化を生じない程度まで大きく低減する。2) 地盤全体の60%以上が改良要素の場合には,地盤の地震後沈下量も大きく減少する。したがって,地盤全体の60%以上が適切に固化処理されていれば,液状化対策地盤として十分に機能できることを示唆する。3) 改良要素には,その存在率以上に地震後沈下量を低減する付加的な効果がある。