抄録
地中に埋設されている大口径パイプラインが,東北地方太平洋沖地震によって大きな被害を受けた。福島県隈戸川地区の農業用幹線パイプラインは水源地から末端の農地にいたる17.8kmの路線を口径1,500mm~2,600mmのパイプで構成している。主に強化プラスチック複合管(FRPM管)を使用している。トンネル内に設置されているパイプラインには重大な損傷はなく継手部の軽微な補修で復旧できる。また,丘陵地のパイプラインは斜面の崩壊によってパイプ全体が移動する被害が生じている。地下水位が高い箇所では埋戻し材料の液状化によって1mを超えるパイプの浮上と構造物の沈下が発生し,構造物周辺のパイプが0.3m以上も抜出して大規模な漏水と地盤の流失等の大きな被害が生じた。埋戻し材料に砕石を用いたパイプラインでは,パイプに大きな損傷や変状はなく耐震効果が発揮されていた。復旧時には,埋戻し材料を砕石に変更して耐震性を向上している。