地盤工学ジャーナル
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論文
地震後に発生した傾斜地盤上盛土の大崩壊に関する水~土連成有限変形解析による再現
酒井 崇之中野 正樹
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2012 年 7 巻 2 号 p. 421-433

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抄録

2007年能登半島地震により道路盛土の大規模崩壊が起きた。この大規模崩壊の特徴は,傾斜地盤に築造した盛土で起こり,水平地盤上の盛土ではほとんど起きていないことと,地震後に遅れて崩壊が発生していることである。本研究では,水~土連成有限変形解析プログラムGEOASIAにより,水平および傾斜地盤上の盛土の地震中から地震後にかけての変形挙動を表現し,傾斜地盤上の盛土の地震後崩壊のメカニズムを明らかにする。以下に本研究で得られた結論を述べる。(1) 盛土に使われた材料の再構成試料,突固め試料および不撹乱試料の力学挙動は,適切な初期値の設定により弾塑性構成モデルSYS Cam-clay modelで再現できた。(2) 水平地盤上盛土は地震でも崩壊が起こらないことを,数値解析により再現した。崩壊しない理由は,地震中に盛土内に正の過剰間隙水圧が発生し,地震後に水圧が消散し圧密したためである。(3) 傾斜地盤上盛土における地震後の円弧滑り状の崩壊を,数値解析により再現した。地震により盛土内の土要素に発生した負の過剰間隙水圧が地震後消散し,土要素が吸水軟化するため,遅れ崩壊が起こった。吸水過程においては塑性膨張を伴う構造の高位化や正規圧密土化が起きている。

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© 2012 公益社団法人 地盤工学会
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