日本老年療法学会誌
Online ISSN : 2436-908X
総説
健康寿命延伸と療法士:理学療法士の立場から
土井 剛彦
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2022 年 1 巻 p. 1-6

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抄録

健康寿命延伸のために,フレイルや認知症の対策が重要であり,理学療法士を含めた専門職が果たす役割に期待が寄せられている。そのような状況において,フレイル,認知症に対して適切に理解することが求められる。フレイルの評価として,身体的な側面だけでなく社会的な側面や認知機能にも着目し,包括的に高齢者の状態を把握することが求められる。認知症については,認知機能評価を行い,状態に応じた対応が求められ,mild cognitive impairment(MCI)は積極的な介入が求められる対象である。フレイルに対する介入としては,運動を中心とした方法が推奨されており,認知機能低下抑制に対しても運動は実施すべき介入方法の一つとして考えられている。高齢者を対象に,運動介入や身体活動促進をおこなうことで身体機能にポジティブな効果がもたらされることは広く知られているところである。また,身体機能や身体活動と認知機能の関連性を明らかにすべく,疫学研究,脳画像研究や介入研究など幅広く検討がなされてきた。これらの内容を適切に理解することで,専門職がフレイル,認知症対策により積極的に関わることにつながると考えられる。

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© 2022 一般社団法人 日本老年療法学会
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