日本老年療法学会誌
Online ISSN : 2436-908X
総説
高齢腎不全患者におけるフレイル管理の意義
松沢 良太
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2022 年 1 巻 p. 1-9

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抄録

本邦において腎代替療法を必要とする末期腎不全患者は年々増え続けている。また,腎臓病の成因および病態の変化や透析療法の長期化に伴い,血液透析患者の深刻な高齢化が報告されている。高齢透析患者には慢性的な低栄養の遷延,透析療法に伴うアミノ酸喪失,慢性炎症,インスリン抵抗性,代謝性アシドーシス,尿毒症,異化亢進/同化抵抗性,度重なる入院イベントおよび多疾患併存といったフレイルにつながる危険因子を数多く有する。定期的な身体機能・身体活動量評価や評価結果に対するフィードバック,さらには評価結果に応じた運動療法指導の実施が行われることは腎不全患者の日常生活動作レベルやquality of lifeの維持・向上につながり,生命予後の改善,さらには腎移植への道も開けるかもしれない。透析医療を含む腎臓病領域において,フレイル管理は未だルーチンケアには含まれていないのが現状であり,これから療法士が参入していく必要性を筆者は強く感じている。

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© 2022 一般社団法人 日本老年療法学会
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