2022 年 1 巻 p. 1-5
生活行為とは人々が毎日行っている活動のことであり,高齢者は疾患や障害,フレイルにより日々できることが少なくなる。また,生活行為の問題は,認知症の生活障害のように,疾患の特徴として報告されることもある。生活行為には様々な方法で評価できるが,それぞれ異なった特徴を有している。具体的には,包括尺度なのか特異的尺度なのか,抽象化された質問か具体的な質問か,可否を問うのか実施状況を問うのかなどである。それらの中には,対象者に生活行為の意味や優先度を尋ねることにより,支援に生かすこともできる評価もある。生活行為の評価方法の違いは,生活行為に対する包括的支援なのか,集中支援なのかといった違いにもつながっている。一方で,最近はプログラム中に生活行為の目標を明確にするなどの取り組みも行われるようになり,双方の利点を生かしたプログラムも開発されるようになった。生活行為の評価と支援のためには専門的な知識が必要ではあるが,今後は広く社会に普及するための評価と支援方法の開発が望まれる。