日本老年療法学会誌
Online ISSN : 2436-908X
総説
地域在住高齢者の摂食嚥下とコミュニケーションの現状
鈴木 瑞恵
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2023 年 2 巻 p. 1-6

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抄録

加齢に伴い,摂食嚥下とコミュニケーションに関わる機能・能力は低下する。摂食嚥下の加齢性変化は「オーラルフレイル」と呼ばれ,健康有害事象との関連が明らかになっている。比較的新しい概念であるが,評価方法,そして予防介入に関する知見が集積されつつあり,今後のさらなる検証が期待される。一方,コミュニケーションについても,加齢に伴って機能および環境が変化し,その変化が高齢者にさまざまな影響を与えることが示されている。コミュニケーションは社会的要素を併せ持っており,加齢に伴う変化が必ずしも病的な低下を表さない可能性がある点に注意が必要である。これら2つの活動は主に言語聴覚士が関わる領域であるが,日常的に誰しもが営む重要な活動であり,職種に関わらず把握し,対象者のリハビリテーションに活かす必要があると考えられる。本稿では,地域在住高齢者の摂食嚥下とコミュニケーションにおける現状を整理し,課題についてまとめた。今後も高齢者の摂食嚥下とコミュニケーションに関する検証を進め,高齢者の健康寿命延伸に向けた一助となることを期待したい。

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© 2023 一般社団法人 日本老年療法学会
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