2017 年 91 巻 2 号 p. 177-200
信仰にもとづく経済システムを現代世界に再興させるべく約半世紀前に登場したイスラーム金融の実践は、急速な成長を伴って世界中に広まっている。その実践に先立って、イスラーム金融を構想した人々の間には、そのあるべき姿についての二つの共通理解があった。それは、ムダーラバ・コンセンサスと利子=リバー・コンセンサスである。イスラーム金融の実践が進んでいく中で明らかになったのは、これらのコンセンサスが必ずしも実践に反映されなかったということである。そうしたコンセンサスと実践の乖離の現状を打開しようとする新たな議論や取り組みが始まっている。中でも、二つのコンセンサスの再考を迫る「異端的な」主張は、これまで正当な評価を与えられてこなかったが、彼らの掲げるイスラーム金融のビジョンの可能性を地球社会におけるその役割にまで射程を広げて考えるならば、それはイスラーム金融の普遍化プロジェクトという野心的な試みとして捉えることができるのである。