心身健康科学
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原著論文
高齢者における皮膚角質層水分量と酸化ストレスのマーカーとしての尿中バイオピリンとの関係
尾形 隆夫庄子 和夫近藤 昊
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2014 年 10 巻 1 号 p. 25-32

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抄録

高齢社会を迎えている現代社会において,高齢者がより良く生きるため心身相関の研究が多様な方面から進んでいる.以前から経験的にストレスは健康の大敵といわれてきたことや,臨床的にもアトピー性皮膚炎が心理的または,身体的ストレスによって増悪することが観察されている.このように,皮膚の状態については,数多くの研究がなされている.ストレスと皮膚水分量の関係については,ストレス評価として質問紙やいくつかの生理的指標を用いた研究がなされてきた.しかし,尿中バイオピリン (以下:尿中BPN) を用いて皮膚角質層水分量との関係を調査した報告はない.本研究では,皮膚角質層水分量 (前腕内側部と後頸部) と尿中BPNとの関係を,女性高齢者44名 (69.52± 3.51歳 (平均±標準偏差)) を対象として調査した.皮膚角質層水分量の測定には,モイスチャーチェッカー808sを使用した.女性高齢者において,皮膚角質層水分量と尿中BPN値の関係には,前腕内側部と後頸部ともに負の相関がみられ,前腕内側部と後頸部の皮膚角質層水分量の多い群と少ない群の2群間で尿中BPN値に有意差を認めた.本研究で,皮膚角質層水分量の多い女性高齢者は少ない人に比べて尿中BPN値が有意に低いことが明らかになった (p < 0.05).

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© 2014 日本心身健康科学会
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