就労者の「こころ」と「からだ」の関連における新たな知見を得るための一助として, 高校教員の職業性ストレス緩和につながる手がかかりを得ることを目的に, 自記式質問紙郵送調査を実施した. 公立高校教員1,191人に質問紙を郵送, 返送された回答から不備等を除き87人の回答を分析対象とした (回収率8.2%, 有効回答率88.8%). 業務に対する積極的価値づけ (「やりがい」「働きがい」) と新職業性ストレス簡易調査票の回答結果の関連を分析した.
回答者全体の78.2% (68人) が教員業務に積極的価値を見出しており, ストレスコントロールが良い集団であったが, 重回帰分析の結果, ストレス要因には「業務に対する積極的価値づけ」の有無と関連する要因と無関係な要因があることがわかった. 従来から教員の職業性ストレス緩和のために「働きがい」や「やりがい」の創出の必要性が指摘されているが, それだけでは不足であることが示唆された.