2018 年 14 巻 2 号 p. 67-76
本研究は,対人支援職者の職業性ストレスの低減につながる新たな実証的知見の創出を目的に,近接職種である訪問看護師と訪問介護員に着目し,A県の訪問看護ステーションまたは訪問介護事業所に所属する訪問看護師213人,訪問介護員194人を対象に,職業性ストレス簡易調査票を用いた無記名自記式質問紙郵送調査を実施した.得られたデータを分析した結果,どちらもストレスコントロールの良い集団で,就労に対する肯定的な価値観の持続がストレスコントロールの良さと関連し,職種によりストレスコントロールの関連要因が異なることが明らかになった.これまでにも当該職種の職業性ストレスの高さに着目した研究はなされているが,ストレスコントロールの良さに着目した研究はなく,当該集団を新たにストレスコントロールの良い集団として捉え,それに関連する諸要因が示されたことは,心身相関の一端の実証に留まらず,当該職種の新たな一面の発見であった.