2019 年 15 巻 2 号 p. 94-107
本研究は,血液透析患者の身体活動量に関連する要因について,特に精神的健康に着目して解明することを目的とした.外来血液透析患者11名を対象として,身体活動量,腎疾患特異的QOL尺度,心理的苦痛尺度を測定し,カルテ情報の血液データ,患者背景因子を調査した.身体活動量は,加速度計付歩数計を用いて非透析日の歩数ならびに3METs以上の活動時間を測定した.身体活動量は,疾患特異的QOL尺度の「腎疾患による負担」および包括的QOL尺度の「全体的健康感」,「活力」とのみ有意な正の相関を示した.身体活動量の高低2群での比較においても,身体活動量高値群は低値群に比べ上記3つのQOL尺度が有意に良好であった.さらに「腎疾患による心理的負担感」の否定群では,歩数および活動時間が非否定群より有意に高く,冬季の活動時間が春秋季より上昇していた.以上から,血液透析患者の身体活動量は特に腎臓病による心理的負担感と関係していることが示唆された.