心身健康科学
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15 巻, 2 号
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原著論文
  • ─病棟勤務看護師を対象とした質問紙調査から─
    米山 雅子, 吉田 浩子, 鍵谷 方子
    2019 年15 巻2 号 p. 71-81
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/12
    ジャーナル フリー

    本研究は,病棟勤務女性看護師の職業性ストレスの低減に資する新たな知見の発見を目的に,無記名自記式質問紙郵送調査を実施,職業性ストレスと「組織に対する認識」の関連を解析した(回収率29.9%有効回答率71.9%解析対象者215人).

    解析の結果,①「組織に対する認識」の違いにより全体が4群に分類され,②この4群間で職業性ストレス簡易調査票の仕事のストレス要因,ストレス反応,修飾要因の各下位尺度得点の平均値に有意差があり(p<0.05),③重回帰分析の結果,各群で下位尺度間の関連を示す回帰式(R2>0.3)が異なっていた.就労者が自らの組織を合理的な組織管理がなされていると認識しているか否か,伝統,習慣,方針を強制されると認識しているか否か,この組み合わせによる就労者の「組織に対する認識」の違いにより同じ仕事のストレス要因から異なった心身のストレス反応が導かれ,「組織に対する認識」の把握の職業性ストレス低減に対する有用性が実証された.

  • ―看護教員を対象とした質問紙調査結果から―
    福永 ひとみ, 吉田 浩子, 島田 凉子
    2019 年15 巻2 号 p. 82-93
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/12
    ジャーナル フリー

    本研究は,転職者の職業性ストレスと職業的アイデンティティの関連について,新たな実証的知見を得ることを目的に,看護職からの転職が前提の看護教員1034人に無記名自記式質問紙調査を実施し(回収率41.3%,有効回答率89.7%),女性常勤非管理職312人の職業性ストレス簡易調査票,看護職/看護教員アイデンティティ尺度の回答を解析した.回答者の職業的アイデンティティは,「看護教員としての自分に対する満足」と「看護職または看護教員としての自分に対する肯定」の2軸から構成された.これらの成分から分類した4群間で職業性ストレスとの関連を検証した結果,「看護職または看護教員としての自分に対する肯定」に比べ,「看護教員としての自分に対する満足」の程度の寄与率が高く,より職業性ストレスと関連していた.看護職から転職した看護教員の職業性ストレスのコントロールに際しては,現職である自分に対する満足の程度を考慮することが有用と言える.

  • ―心身健康科学の視点から―
    河合 克尚, 鈴木 はる江, 庄子 和夫
    2019 年15 巻2 号 p. 94-107
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/12
    ジャーナル フリー

    本研究は,血液透析患者の身体活動量に関連する要因について,特に精神的健康に着目して解明することを目的とした.外来血液透析患者11名を対象として,身体活動量,腎疾患特異的QOL尺度,心理的苦痛尺度を測定し,カルテ情報の血液データ,患者背景因子を調査した.身体活動量は,加速度計付歩数計を用いて非透析日の歩数ならびに3METs以上の活動時間を測定した.身体活動量は,疾患特異的QOL尺度の「腎疾患による負担」および包括的QOL尺度の「全体的健康感」,「活力」とのみ有意な正の相関を示した.身体活動量の高低2群での比較においても,身体活動量高値群は低値群に比べ上記3つのQOL尺度が有意に良好であった.さらに「腎疾患による心理的負担感」の否定群では,歩数および活動時間が非否定群より有意に高く,冬季の活動時間が春秋季より上昇していた.以上から,血液透析患者の身体活動量は特に腎臓病による心理的負担感と関係していることが示唆された.

第28回 日本心身健康科学会学術集会
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