腱の振動刺激によって生じる運動錯覚と筋放電活動の関連およびタッチングの影響を検討した.健常成人12 名を対象に,遮眼で右前腕伸筋群の腱遠位部に振動刺激を与え,左手関節角度で表現させた運動錯覚と右前腕屈筋群及び伸筋群の筋電図を記録した.振動刺激にタッチングを加えた際の,感情と内受容感覚に関する特性との関連を検討した.振動刺激により手関節の運動錯覚を認めた.筋放電活動は,前腕伸筋群と前腕屈筋群ともに増加したが,屈筋群のみ運動錯覚と正の相関関係を認めた.タッチングにより運動錯覚が消失したが,屈筋群の筋放電活動は増加し,内受容感覚の特性との関連が認められた.屈筋群の筋放電活動には,大脳皮質を介した知覚から運動への変換プロセスが関与する可能性が考えられる.振動刺激による運動錯覚の程度と筋放電活動の関連性,これに対する触刺激の影響から,大脳皮質レベルでの知覚-運動統合機能を介した心身相関を明らかにした.