心身健康科学
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原著論文
乳児の声に対する精神的反応と生理的反応の関連性と個人特性の影響
山田 万希子鍵谷 方子
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2025 年 21 巻 2 号 p. 41-55

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抄録

育児経験のない青年男女における乳児の泣き声とクーイング(喃語を含む)に対する精神的反応と生理的反応の関連性および個人特性の影響を検討した.18歳以上の成人17名を対象として,7か月齢の乳児の泣き声またはクーイングを各3分間聴取した際の生理指標の測定と聴取前後の質問紙調査を実施した.その結果,泣き声またはクーイング聴取により皮膚血流量が有意に減少した.心拍数にはどちらの聴取も有意な影響を及ぼさなかった.泣き声聴取時の皮膚血流量減少反応の程度は,クーイング聴取時に比べ大きく,また,ストレス耐性が低いほど大きい正の相関が認められた.さらに,泣き声に対する受容的情動得点低群と女性においては,泣き声聴取とクーイング聴取による皮膚血流量減少反応に程度の違いがみられた.以上より,泣き声およびクーイング聴取に対する生理的反応の生じ方の違いは,個人特性と乳児の声をどのように受け止めているかの感情によって影響を受けることが示された.

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© 2025 日本心身健康科学会
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