心身健康科学
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原著論文
  • 山田 万希子, 鍵谷 方子
    2025 年21 巻2 号 p. 41-55
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/09/23
    ジャーナル フリー

    育児経験のない青年男女における乳児の泣き声とクーイング(喃語を含む)に対する精神的反応と生理的反応の関連性および個人特性の影響を検討した.18歳以上の成人17名を対象として,7か月齢の乳児の泣き声またはクーイングを各3分間聴取した際の生理指標の測定と聴取前後の質問紙調査を実施した.その結果,泣き声またはクーイング聴取により皮膚血流量が有意に減少した.心拍数にはどちらの聴取も有意な影響を及ぼさなかった.泣き声聴取時の皮膚血流量減少反応の程度は,クーイング聴取時に比べ大きく,また,ストレス耐性が低いほど大きい正の相関が認められた.さらに,泣き声に対する受容的情動得点低群と女性においては,泣き声聴取とクーイング聴取による皮膚血流量減少反応に程度の違いがみられた.以上より,泣き声およびクーイング聴取に対する生理的反応の生じ方の違いは,個人特性と乳児の声をどのように受け止めているかの感情によって影響を受けることが示された.

  • 渡部 尚, 吉田 浩子, 矢島 孔明
    2025 年21 巻2 号 p. 56-67
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/09/23
    ジャーナル フリー

    家族介護者に対するより良い支援の構築に資する新たな実証的知見を得ることを目的とし,2023年7月に要介護認定者と同居し,主たる介護に従事する介護者を対象に回答選択式Web横断調査を実施した.得られた718人の回答を用い,先行研究が示す家族介護規範意識と諸要因(介護者の年齢,介護期間,客観的介護負担,主観的介護負担,心理的ストレス,身体症状,被介護者の要介護度)の関連を統合した仮説モデルを多変量解析により検証した.その結果,仮説モデルの妥当性が支持され,家族介護規範意識が主観的介護負担のみならず,直接あるいは間接的に客観的介護負担および心理的ストレス,身体症状の自覚の程度に影響を与えることが立証された.支援者は介護者の状況がその背景に存在する規範意識の影響下にあることを理解し,客観的介護負担を適切にアセスメントした上で,介護者を全人的に捉えた支援策を構築することが重要である.

研究報告
  • ─仮説モデルの考案─
    都留 万里子, 吉田 浩子
    2025 年21 巻2 号 p. 68-76
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/09/23
    ジャーナル フリー

    本研究は,これまで個別に検討されてきた現代日本人の援助要請に関わる諸要因を包括した概念モデルの妥当性を先行研究から検討し,心身相関の視点から実証的に検証可能な仮説モデルの立案を目的とした.援助要請に関する39件の和文論文の内容をKJ法を用いて整理した結果,援助要請の前提となる7つの「困り事」(「育児」「受診困難」「介護困難」「不登校」「学校生活」「雇用環境」「高齢者の孤立」)が抽出された.「困り事」を抱える当事者は心身不調を自覚し,援助を要請し適切な支援を得ることで不調が低減されていた.心身不調の改善につながる「困り事」の解決に必要な援助要請に至る過程には,個人特性とソーシャルサポートから構成される援助要請抑制要因,促進要因が存在し,援助要請に関わる諸要因の包括的モデルの妥当性が確認された.以上を基に,将来的に社会調査の手法を用いて実証的に検証可能な新たな仮説モデルが考案された.

第40回 日本心身健康科学会学術集会 メインテーマ「健やかな生命育む心身健康科学」
教育講演
第40回 日本心身健康科学会学術集会 人間総合科学大学大学院 研究発表会合同大会 抄録
特別講演録(第39回学術集会)
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