抄録
肥満は運動不足や,過食などの不適切な食習慣に起因しており,生活習慣病の原因となっている.また,運動は肥満の解消だけでなく心身面での健康管理にも有用であり,運動不足や食習慣を見直すことで減量効果や健康管理あるいはQOLの向上が期待出来る.しかし,長年の生活習慣を個人の意欲だけで変えることは容易ではない.そこで,今回,自宅で出来る平易な運動と食習慣の見直しを基本として,セルフモニタリングによる減量プログラムを作成した.参加者一人ひとりの孤独な取り組みではなく,グループ活動として,同プログラムに取り組むことで,どのような減量効果と生活行動記録が得られるかを検証した.
調査は専業主婦9名を対象者に,11週間おこなった.減量効果は,体重,BMI (body mass index),体脂肪率,骨格筋率において有意差 (p < 0.01) を認めたが,生活行動記録と減量効果には有意差がなかった.これらの結果から,自宅での運動不足の解消や食習慣の見直しは,グループ活動として行うことで被験者の意識や行動の変化が期待でき,個人では継続することの困難な運動や食生活の改善が,当該研究で提案する方法により比較的,容易に実現でき,被験者の期待する減量にも有効であることが分かった.また,有意差は見られなかったものの簡易的な生活行動記録も,健康管理を目的とする生活習慣の見直しに役立つことが示唆された.