日本ヘルスケア歯科学会誌
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総説
世界で最も多い疾患「う蝕」:日本での現状と歯科医療のあり方
相田 潤
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ジャーナル オープンアクセス

2019 年 20 巻 1 号 p. 6-10

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抄録
う蝕(未処置歯)は世界で最も多い疾患である.日本においても人口の30%以上が有する疾患である.また,歯の喪失の減少に伴って,高齢者の有病者の増加も顕著である.しかし,小児のう蝕が減少したために,う蝕のこの有病者率の高さは,十分に認識されていない.従来「幼少期に歯を削り,中高年で歯が喪失し,高齢期には受診しない」とされていた歯科受診のトレンドは,「幼少期にう蝕が予防され,高齢期でも歯科受診をする」という流れに変わってきている.このトレンドの変化は,医療保険制度との間にギャップを生んでいる.このため診療報酬の中に,予防の評価を位置づけ,定期健診を点数表に盛り込むことが,時代の要請となっている.治療による受診回数を減らし,定期健診による受診回数にシフトする歯科医療を実現するべく,行政,研究,教育,臨床にかかわる者の意識改革が求められている.
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© 2019 一般社団法人日本ヘルスケア歯科学会

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