抄録
口腔がんは希少がんだが,60代男性を中心に増加傾向にある.また最近では女性,若年者の罹患も増えている.口腔は歯科医療従事者だけでなく,患者自身が見て,触れることができるにもかかわらず,現実には口腔がんの早期発見は難しいため,患者の35.8%は基幹病院に紹介されたときには進行がん(ステージ3,4)となっている.
口腔がんに対して,国民の認知度向上,そして歯科医療従事者の意識改革が必要である.本稿では口腔がんの日本の現状,過去との相違を示すとともに,新たな口腔がん対策を紹介する.すなわち口腔がん検診活動の普及,蛍光観察による早期発見トライアル,そしてオーラルナビシステムの導入である.