日本ヘルスケア歯科学会誌
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調査報告
COVID-19パンデミック下の歯科受診行動
秋元 秀俊
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ジャーナル オープンアクセス

2022 年 23 巻 1 号 p. 57-

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抄録
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の拡大が,わが国の歯科の受診行動に与えた影響を知るために,全国26都道府県の58歯科診療所の協力を得て,2020年1年間の初診患者数(初めて当該診療所を受診し新たに診療録を起こした者の数)の月ごとの推移を調査した.2018年と2019年の平均月別初診患者数を基準にCOVID-19パンデミックの始まった2020年の初診患者数の推移をみると,次のような特徴があった.①未成年者は4〜7月に減少し,男性で10月,女性で9月に増加した,②成人の初診患者は1年を通じて前年比60〜90 %程度の低い水準にとどまった,③成人男性は4月,成人女性は5月に半減し,9,10月にいくぶん回復した.この初診患者数の大きな変化は,未成年者については,母子保健事業の歯科健診が対象年齢に縛られることなくCOVID-19蔓延期を避けて実施され,併せて学校歯科健診の実施時期が年度内に繰り延べになったことに大きな影響を受けたと考えられる.成人の初診患者数は4,5月に急減し,9,10月に前年並みに戻るという急激な減少と増加の波を経験した.これは緊急事態宣言に伴って受診を控える者が多く,一部の診療所では休診としたために初診患者が減少したが,その受診を控えた者がCOVID-19の落ち着いた9,10月に揺り戻して増加をもたらしたものと推測される.
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© 2022 一般社団法人日本ヘルスケア歯科学会

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