2022 年 34 巻 3 号 p. 42-50
プラスチック(プラ)ごみの不適切な処理や管理による海洋汚染は,地球規模で拡大しており,国際社会で対処すべき喫緊の課題となっている.2022年2~3月に開催された国連環境総会では,海洋プラごみの問題解決に資する法的拘束力のある国際約束を作成することが決まり,2024年末までに国際約束の目的の特定や内容を政府間交渉委員会(INC)で検討することになった.INCは,モニタリング等のデータ及び情報の共有強化を進めていくこととしており,科学的知見の整備や効果的な発生抑制対策の事例提供等を求めている.このような背景のもと,国立環境研究所では,プラのライフサイクルを俯瞰して重要なケースを取りあげ,効果的・効率的な流出削減に資する科学的知見を得ることを目的とした調査研究を実施している.本論文では,プラごみの循環・廃棄過程からのプラ微小粒子の排出実態把握と流出抑制に資する関連調査研究を取りあげて,実施概要や進捗状況を紹介する.