2013 年 10 巻 1 号 p. 20-28
ライフイベントの多い30代のストレスにはどのような要因が関連しているのかを明らかにし、対象に応じた今後の心の健康づくりのあり方を考える一助となることを目的に、A町で30代健診時に実施した健康調査表の分析を行った。
その結果、女性にイライラやストレスを感じている者が多く、女性の方が解消できていない傾向にあった。また、男性では仕事・勉強の内容、女性では子育て・子どもの教育、家事、親族との付き合いなど家族や子どもとの関係についてストレスと感じる者が多く、性別によりストレスの要因が異なった。
そして、ストレスを感じる程度が高いほどストレス解消ができていない者が多く、また、ストレスの解消ができている者は、自分自身を健康だと感じており、自己肯定感が高く、生活や仕事の満足度が高いという関連が明らかとなった。
30代では家庭や社会での役割にともなった要因により、イライラやストレスを感じることが多く、対象者をとりまく特性により解消方法が異なり、解消の度合いにも影響を与えていると考えられた。地域におけるよりよい心の健康づくりのため、健康相談時には性別や役割などの内容をふまえた相談活動をしていく必要があると示唆された。