2013 年 10 巻 1 号 p. 29-37
精神科デイナイトケアにおける感情コントロールを目的とした、弁証法的アプローチによる介入効果の質的分析を本研究の目的とする。スキルトレーニングは、Mckayらによる弁証法的行動療法の「苦悩耐性スキル」「マインドフルネス」を用いて実施した。
1年間にわたってセッションに参加していた感情調節困難な1事例にインタビューを実施し、プログラム参加後どのような変化が起こったかを中心にグラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した。
患者の変化に関連するカテゴリーとして【理論を咀嚼した上で実践に結びつける作業】という1カテゴリーと、≪過去の体験に伴う辛さ≫≪産婦人科主治医の紹介による通院開始≫≪意識化による行動の意味づけの変化≫≪苦悩耐性スキルに基づく感情コントロール≫≪効果を実感したスキル≫≪具体的な実践方法の紹介への期待≫≪将来の目標に向けて起こした行動≫の7つのサブカテゴリーが生成された。
スキルトレーニングは、感情制御、思考の修正、行動の変化に貢献していた。その結果、患者は健康的で現実的な生活を模索する新たな生き方を獲得しつつあった。