2016 年 13 巻 1 号 p. 12-23
〔目的〕患児のフィジカル・アセスメントに関する臨地実習での学習状況と学内での教授方略の現状を明らかにし、教育上の課題を考察することである。
〔方法〕ADDIEモデルを枠組みに、全国の看護系大学の学生176名と小児看護学教員35名を分析対象とした実態調査からニーズ分析を行った。
〔結果〕学生は、乳児/幼児前期の患児の発達の理解度が低く、患児への接近法の理解度との正の相関があった。生体機能の観察の達成度は、乳児/幼児前期に限り家族の手助けが影響したと認識していた。治療に伴う観察の達成度には、実習指導者や教員の手助けが影響したと認識していた。一方教員は、患児とのリアルな相互作用を経験させることに教授方略の限界や課題を感じていた。
〔考察〕各発達段階に特徴的な子どもの自然な反応を理解した上で、患児の状況に応じた関係形成ができ、観察の根拠や予測をもってフィジカル・アセスメントの実施・評価を豊富に体験できる教材開発が課題である。