医療看護研究
Online ISSN : 2758-5123
Print ISSN : 1349-8630
原著
高齢がん患者の代理意思決定をする家族へのがん看護専門看護師による支援の構造
西岡 由香里岡本 明美
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2024 年 20 巻 2 号 p. 14-23

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抄録

 本研究の目的は、意思決定することが難しい高齢がん患者の代理意思決定をする家族へのがん看護専門看護師による支援の構造を明らかにし、看護師に求められる実践能力について考察することである。高齢がん患者の家族への代理意思決定支援を行った経験のあるがん看護専門看護師8名を対象に半構造化面接によりデータを収集した。分析方法は質的帰納的分析である。

 代理意思決定をする家族への支援は、《家族の背負っている負担を少しでも軽くする》、《高齢がん患者の意思を反映した決定を目指す》、《代理意思決定を遂行できる家族員を明確にする》、《家族に代理意思決定をする覚悟を決めてもらう》の4コアカテゴリーに集約され、《高齢がん患者の意思を反映した決定を目指す》、《家族の背負っている負担を少しでも軽くする》の2つを目標に相互に関連しながら代理意思決定が想定される前から代理意思決定後まで支援を継続していることが考えられた。看護師に求められる実践能力として、家族に寄り添う力、アセスメントする力、多職種との関係性を構築する力、高齢がん患者の意思を尊重し家族の負担を軽減することを意識する力が示唆された。

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© 2024 順天堂大学医療看護学部
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