2025 年 21 巻 2 号 p. 54-64
要 旨
看護大学4年生を対象にシミュレーション演習を実施し、学習効果と課題を明らかにすることを目的とした。演習参加者を対象にしたインタビュー調査から、シミュレーション演習を通して得たこととして、【看護師のように考えた体験から得た実践的な気づき】【効果的なデブリーフィングによる学びの深まり】【サポーティブな環境による学びの促進】【これまでの経験を活かし成長を実感する機会の獲得】【自己の学習課題の明確化と意欲の高まり】の5カテゴリーが抽出された。演習参加者はこれまでの経験を活かして看護師のように考えて行動し、実践的な気づきや学び、成長の実感を獲得していた。また、サポーティブな環境や効果的なデブリーフィングが主体的な学習を促進し、学習の動機づけを高めることに寄与したと推察された。演習参加者による演習プログラムに対する評価や満足感が高かったことからも、効果的な演習となったことが示されたが、今後は、学生の自信をより高められるような工夫をすること、退院支援や在宅看護の視点も加えたプログラムを考案して実施・評価することが課題である。