研究目的:入院児に接する看護師は,子どもの権利条約で保障する「子どもの最善の利益」について,どの程度意識し,実践しているかを小児専門病院の看護師(専門群)及び総合病院の小児(科)病棟の看護師(小児群)と成人・小児の混合病棟の看護師(混合群)との比較から明らかにし,小児看護師の特性を検討する。
方法:対象は看護師450名で専門群171名及び小児群141名と混合群138名で質問紙法で調査した。
結果:1. 子どもの権利に関して,意識が実践より高い傾向にあった。各群別の項目全体は,意識では小児群が混合群より高く,実践では小児群が専門群より高かった。2. 子どもへの説明と意思決定の促しでは意識が各群とも高い傾向にあった。3. 子どもと家族のプライバシー保護は,実践で小児群が混合群より高かった。4. 子どもへの安全,安楽の確保は,意識と実践ともに平均値が高かった。5. 子どもと家族の意思の尊重は,小児群が専門群より高かった。6. 子どもの発達・情報提供は,意識で小児群と専門群が混合群より高かった。7. 家族の支援は意識と実践ともに小児群と専門群が混合群より高かった。以上の結果を子どもの権利保障を主眼としたケアの向上に役立てたい。