医療看護研究
Online ISSN : 2758-5123
Print ISSN : 1349-8630
原著
母親認知の縦断的変化
-青年期から成人期にかけて-
山岸 明子井森 澄江
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2008 年 4 巻 1 号 p. 20-28

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抄録

 本研究の目的は,青年期の母親認知が成人期になるとどのようになるのかに関して,同一の被験者から得た縦断的データによって検討を行うことである。看護短大在籍時に生育史を書いてもらった30代はじめの女性20名に面接調査を行い,母親はどのような人か,母親に対する気持は変わったか等について語ってもらい,その語りと,11年前に幼少期から短大時代までの生育史で記述された母親についての語りとの比較を行った。その結果,親に対する肖定的気持や親がもつ意味に関しては何歳になっても変わらない部分がある一方,否定的な語りに関しては,青年期までの記述とは異なり,母親に対する否定的な感情を強く表明するのではなく,自分との関係を客観的に述べる者が多いことが示された。成人期の母親認知と以前の認知との関連に関しては,今回の語りと11年前の生育史の記述が似ている場合が多く,現在が肯定的な者は11年前も良好な関係であることを記述し,現在否定的な者は11年前にも問題や葛藤を記述する者が多く,両面を語る者は幼児期につながりが薄いことを記述し,その後徐々に問題ある関係に移行し,大学時代には良好になる者が多いという傾向が見られた。

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© 2008 順天堂大学医療看護学部
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