1〜6歳の先天性疾患児の母親(先天群62人)と,後天性疾患児の母親(後天群41人)の育児ストレスの分析を通じ,それぞれの特徴を明らかにすることを目的として質問紙調査を行った。調査内容は,対象の基本的属性と疾患名,罹病期間,受診する診療科数,医療処置,母親の認識する重症度等の疾患属性である。育児ストレスの測定には,日本版Parenting Stress Index(以下日本版PSI)を使用した。期間は2006年7〜9月,対象は首都圏A大学病院の小児科及び小児外科外来に通院する長期療養児の母親である。その結果,先天群と後天群の育児ストレスの比較において,有意な差は認められず「親役割によって生じる規制」のみ後天群の育児ストレスが有意に高かった(P<0.05)。また,疾患属性別の育児ストレスの比較では,先天群は患児の医療処置を継続的に実施する母親(P<0.05)の育児ストレスが,また後天群は,現在の患児の状態を重症と認識する母親(P<0.01)の育児ストレスが有意に高かった。