日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第46回日本家庭科教育学会大会
セッションID: 22
会議情報

第46回大会口頭発表
カナダ・ニュジーランド・タイ及び日本における食教育の比較
*宮田ひとみ堀越 昌子増澤 康男岸田 恵津中西 洋子細谷 圭助久保 加織
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【目的】食生活と健康とは密接な関連がある。近年各国で生活習慣病の増加などさまざまな問題が生じており、そのため食生活を見直す動きが高まっている。日本においても健康日本21の策定や食生活指針の改定などが行われてきた。学校における食教育の内容や方法などについても研究や実践がすすめられている。滞在したカナダとニュージーランドにおいても、日本と同様に肥満や糖尿病が大きな問題となっていたが、歴史も文化も違うので、食に対する意識や、食教育のやり方にも違いがみられた。本研究では、日本の食生活のあり方、食教育のあり方を他国と比較検討することによって、問題点を鮮明にし、改善、発展させていくことを目的とした。
【方法】カナダはバンクーバー、ニュージーランドはダーフィールド、タイはペッチャブーン、日本は滋賀県において、2001年4月から2002年11月にかけてアンケート調査を行った。調査内容は食に対する意識、食教育の内容と場所、子ども達の食教育に関するものである。有効回答数は308であったが、本研究では教師や留学生を省く、四ヶ国の学生計235名の回答を分析した。
【結果および考察】食に対する意識 日本は食に関して、他の三カ国より意識が高い傾向にあったが、男性は健康面に、女性はスタイルに関心が向けられ、男女間で差が認められた。日本女性の痩せ志向は他国の女性と比較して強かった。健康に関して、また食知識に対しての自己評価は男女とも「自信なし」の人が多かった。料理をする頻度が日本では男女とも他の三カ国と比べて低く、この実践不足が自信のなさにつながっていると考えられた。自己評価点の高かったのがニュージーランドであった。
食教育の内容と場所 カナダは男性に肥満がめだち、食意識には男女差が顕著に認められ、食知識は主に家庭や友人など学校外から得ていた。ニュージーランドは食の学習意欲や調理参加度が男性で低く、女性は他国より高かった。タイは男性の食改善意欲や調理参加度が高く、食知識は主に家庭や友人など学校外から得ていた。日本では食知識は主に『学校』から得ているが、学校で習ったことについて『役に立っていない』とする人が男性で36%、女性で16%を占め、他国より高くなっていた。また日本の学生は他国と比べ『知識』に対する要求度が高く、内容としては栄養補助食品や機能性食品など、新しい分野の項目を求める声が高かった。
子ども達の食教育 『子どもたちが学校で食教育についてもっと学ぶべき』とするものが日本では80%を占め、他国より高かった。学び始める時期に関しても90%以上が「幼稚園」と「小学校」とし、他国より早期教育を望む声が高かった。また教養・総合的な内容、食知識は「学校」で、技術・実践は「家庭」で学ぶべきと、内容により学ぶ場所を選択する傾向が認められた。 食教育の内容に関する設問で、男女間で回答に一番差がなかったのは日本であった。これは日本では学校での学習の機会が男女でほぼ等しく与えられているためであると推測できた。しかし家庭科教育先進国のひとつといわれる日本において、食知識、食技術が高いかというとそうではなかった。なぜならこれらは生活と密接に結びついており、家庭での実践が伴ってこそ学校で習ったことが役立つのであり、日本では実践不足という問題点が浮き彫りになった。 日本では食教育の内容として、食文化や環境問題など総合的な内容の充実を望む声が多く、また早期からの系統だった食教育が求められていた。幼少時から家庭と学校での食教育の積み重ねが実践力の拡大につながっていくので、家庭と学校との連携が重要であり、親への食教育の整備も求められる。
著者関連情報
© 2003 日本家庭科教育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top