抄録
1.研究目的 太田らは,1977年の男子大学生の食生活に関する実態と意識の調査1)から,男子大学生は「自立した生活者としての自覚や意欲に乏しく」,また「食生活に対する知識や技能についても決っして充分とはいえない」ため,「意図的な食物教育の場がこれまで以上に拡充される必要がある」ことを指摘した。調査対象であった男子大学生は学校でのみ家庭科を履修していた。また,矢野は1996年の調査2)より,「「健康」因子及び「手作り」因子については,知識得点と関連がみられ,家庭環境や生活経験の他に,家庭科における学習が食生活に対する意識や価値観の形成に影響を与えることが示唆された。」と報告している。この調査対象である男女大学生のうち男子大学生は,小学校家庭科の上に,中学校技術・家庭科で食物領域を履修する機会があった。しかし高等学校では学んでいなかった。君嶋は1996年の大学生を対象にした食生活実態調査の結果3)から「自立した食生活を営むための大学生の食事能力が充分に養われておらず,小学投入学から大学までの系統的な食生活教育の必要性」を示唆している。この調査対象である男女大学生のうち,男子大学生の家庭科の履修状況は矢野のそれと同じであった。 今回の調査では,調査対象を高等学校家庭科の男女共修が制度化された1994年以降に高等学校に入学した男女大学生とした。小学家庭科および中学校技術・家庭科で「食物」を履修し,さらに高等学校において家庭科を男女ともに履修した学生である。本報告では,1996年調査結果における食品摂取頻度と本調査結果におけるそれとを比較し,大学生の食生活の変化を探るとともに,高等学校での家庭科の履修が,大学生,特に男子学生の食生活に与えた影響を明らかにしたい。
2.調査方法 2002年7月に香川大学生を中心とした香川県在住の大学生計251人を対象に,質問紙を配布し,自記後回収した。調査内容は,食品の摂取について?緑黄色野菜,?淡色野菜,?果物,?牛乳,?卵,?魚・肉,?豆製品,?海藻類,?穀類,?インスタント食品,?清涼飲料水の11項目の摂取頻度を,「はい」,「ときどき」,「いいえ」から選択させたものである。これは君嶋の用いた方法と同じであり,門田4)のものに準じている。
3.結果の棟要 2002年調査の食品摂取頻度を男女別,居住別に比較した結果,次のことが明らかになった。?男女別比較においては,インスタント食品,涼飲料水は男子のほうが摂取頻度が高く,野菜(特に淡色野菜),物,豆腐・豆製品の摂取頻度は男子より女子のほうが高かった。?居住別比較の結果,自宅生のほうが単身学生より野菜(緑黄色・淡色),果物,卵,魚・肉,豆腐・豆製品,海藻において摂取頻度が高かった。 また,1996年調査の食品接取頻度と,2002年調査の食品摂取頻を比較した結果,男女別、居住別のどちらにおいても,1996年調よりも2002年調査のほうが摂取頻度が低くなる傾向がみられた。
【引用文献】1)太田昌子,糸賀都子;「男子大学生の食生活に騨する実態と音識(第1報)(第2報)」日本家庭科教育学会誌,Vo1.22.No.2,114-127pp(1979)
2)矢野由妃;「家庭科教育が実際の食生活に及ぼす影響」日本教科教育学会 Vol.20・No.3,41p(1997)
3)君嶋紀子;「食事からみた食習慣の形成」香川大学大学院教育学研究科修士論文(1997)
4)門田新一郎:「中学生の健康状態と食生活との関連についてー簡易アンケート調査による検討」栄養学雑誌,Vo1.45・No.5,21.34pp(1987)