日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第46回日本家庭科教育学会大会
セッションID: 4
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第46回大会口頭発表
家庭生活についての全国調査東北データの分析(第2報)
「家族構成」から見た家庭生活・保育学習への示唆
*渡瀬 典子中屋 紀子日影 弥生長澤由喜子浜島 京子黒川 衣代高木 直
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抄録
【目的】新学習指導要領では,少子・高齢化を背景に小学校・中学校・高等学校全てにおいて家庭生活に関する学習が強化されると同時に,家庭・地域社会で異世代の人々と関わり,相互理解を深める学習の重要性が示唆されている。これらの状況の中で,日本家庭科教育学会は「子どもの実態に即した家庭科カリキュラムの構築」を企図し,平成14(2002)年に「家庭生活についての調査」を実施した。  
第2報では,東北地区の児童・生徒の家庭生活の現状が20年前と比べどのように変化したか,全国と比較して東北地区の特徴はどの点にあるかを明らかにする。とくに本報告では,東北6県の児童・生徒の家庭生活に対する意識・異世代(乳幼児・高齢者)と関わる状況を家族構成(3 世代同居及びきょうだいの有無)から考察する。以上の検討を通し,今後の家庭科教育での家庭生活及び保育に関する学習の示唆を得ることが本報告の目的である。          
【方法】平成14(2002)年に実施された「家庭生活についての調査」(小4,6,中2,高2年生対象)の東北6県の調査結果と対照データとの比較から東北地区の特徴を明らかにする。ここでの対席データとは,昭和57(1982)年に家庭科教育学会が実施した「家庭生活の認識に関する調査」(小2,4,6,中2,高2年生対象の自記式質問紙法)での東北6県 2,484名対象の調査結果と,「家庭生活についての調査」の全国調査結果である。東北 6 県は学校所在地の地域の特徴を配慮した。 4,600名を調査対象として設定した。
【結果】調査回答者の家族形態を見ると,全国調査では核家族(70.3%),拡大家族29.7%),東北地区では核家族(0.6%),拡大家族49.4%)が対象である(1982年は核家族72.6%,拡大家族27.5%)。
「家庭生活の機昏」を見ると 20年前よりも家庭の再生産機能,愛情機能に関わる項目 と「大切と思う」割合が著しく増えた。一方,全国・東北の各項目間の回答傾向はともに共通し,地域差は現れなかった。
  次に異世代との日常的な関わりの現状を見ると,「お年寄りや体の不自由な人に声をかけたり手助けをする」ことは拡大家族の中で暮らす子どもが日常的に多く行っていると推測されたものの,現状及び今後実践する意欲にも家族構成の違いが明確に現れなかった。
乳幼児との日常的な関わりを見ると,「子どもの遊び相手をする」と回答した児童・生徒は弟妹がいる場合,「いつもする」と回答した割合が多い。さらに,弟妹がいる場合のほうが,もっとすすんで子どもと遊びたいと考えている。この結果と呼応し,「幼児との遊び相手を頼まれた湯合,引き受けるか」では東北全国ともに弟妹がいる場合のほうが子どもと遊ぶことを肯定的に捉えている。また,東北地区は全国と比べ「子どもが好き」という割合が低く,「弟妹なし」ではこの傾向が頼著である。さらに東北の特徴として子どもとの遊ばせ方が「わからない」ために子どもと遊ばない傾向が見られた。 遊ばせ方では「けがの心配の少ない遊び」,「自分も楽しい遊び」を選択し,全国調査値では高い割合を占めた「子どものためになる遊び」を選ばない傾向が示された。以上のことから,全国・東北ともに弟珠なし辞で子どもとの遊びに消極的な傾向が寮われた。
【今後の課題】82年調査との比較から,20年の間に子どもは家庭の機能の中で情緒的役割を重視するよう変化した。しかし,全国と東北の調査値を比較すると,祖父母との同居と高齢者と関わる状況の間に明確な関連は見られなかった。また、子どもとの関わりにおいては,東北地区で「弟妹なし群」で子どもと関わることへの苦手意識が現れ,同時に子どもと関わる自信のなさが窺われた。出生率低下に伴うきょうだい数の減少を鑑みると,家庭生活及び保育学習中で、乳幼児に配慮することを体験的に学ぶことが東北地区の生徒の現状から必要とされることが改めて確認された。
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© 2003 日本家庭科教育学会
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