日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第46回日本家庭科教育学会大会
セッションID: 63
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第46回大会ポスターセッション
児童・生徒の家事分担に影響を与える要因
池田 朋美松岡 英子
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抄録
(目的) 本研究では、日本家庭科教育学会による全国調査で明らかにされた児童・生徒の家庭における仕事の実態や家庭生活に対する認識を検討するとともに、多変量解析を用いて児童・生徒の家事分担に影響を与える要因を明らかにすることを目的とする。
(方法) 2001年9月に、日本家庭科教育学会によって実施された「家庭生活についての全国調査」【科学研究費基盤研究(A)(1)】における調査結果を分析する。小学6年生2611名,中学2年生2983名,高校2年生2993名,計8587名を分析対象とする。データ分析はクロス集計、回帰分析、分散分析等を行い、児童・生徒の家事分担に影響を与える要因を明らかにする。
(結果) ?)家時分担: 家の仕事に関する11項目について「いつもする」4点、「ときどきする」3点、「あまりしない」2点、「しない」1点として加算尺度とした。平均点は全件で25.4,小学6年生25.1,中学2年生25.2,高校2年生26.0であった。
?)影響要因: 児童・生徒の基本属性5変数,毎朝の生活自立,家庭科学習の効果尺度,家庭の仕事に対する意欲・関心,問題解決の意欲,父母の職業,父母の家事分担を影響要因として用いた。基本属性は個人的要素としての性別,学年の2変数と、家族的要素としての同居家族員数,兄弟姉妹数,祖父母との同居の有無の3変数、合計5変数である。家庭科学習の効果は、家庭科を学習した成果を4項目で捉え、各項目を1点から4点に得点化して用いた。得点が高いほど学習の成果があったと評価している尺度にした。家庭の仕事に関する意欲と関心は、もっと上手になりたいこと・すすんでやりたいことを11項目で捉え得点化した。得点が高いほど家庭の仕事に対する意欲や関心があると評価している尺度にした。平均点は3.4で、小学6年生が3.6で最も高く、中学2年生,高校2年生は3.3であった。問複解決の意識は8項目で捉え、1~4点までに得点化し、加算尺度とした。得点が高いほど問題を解決することに対する意欲があると評価している尺度にした。平均点は26.6であり、学年や性別による大きな差は見られなかった。
?)影響を与える要因: 家事分担を従属変数、各要因をそれぞれ独立変数に用い、一元配置分散分析・回帰分析を行った。さらに、影響要因を絞り込むために要因を2つおよび3つずつ組み合わせて同様の分析を行った結果、同居家族員数,父親の職業の影響力が失われ、最終的に13変数が有意な影響を与えていることが明らかとなった。以上の分析において、有意な影響を示した5つの変数を独立変数に、家事分担を従属変数として分散共分散分析を行った結果、変数の規定力の大きさと方向性から、家事分担は、男子に比べて女子のほうが多く、また学年が上がるにつれて頻度は多くなること、毎朝の生活時間における自立ができている児童・生徒ほど多いことが明らかとなった。また、母親が家事を行なう頻度が少ないほど児童・生徒の家事分担は多くなり、逆に父親が家事を行なう頻度が多いほど児童・生徒の家事分担も多くなった。さらに母親の職業においては、仕事時間が比較的長い職業の母親を持つ児童・生徒ほど家事分担が多いことが明らかとなった。また、祖父母と同居していない児童・生徒、兄弟姉妹の人数が多い児童・生徒ほど多くなった。そして、家庭科で学習した内容が日常生活の中で活かされる機会が多いと認識している児童・生徒、問題解決の意欲を高く持っている児童・生徒ほど、家事を分担することが多いということが明らかとなった。
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© 2003 日本家庭科教育学会
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