抄録
【はじめに】家庭科教育には,保育や家庭看護についての学習内容が含まれる。本研究は,教育学と看護学,教育現場と医療現場の学際的な研究として行ったものである。
【研究目的】予後不良の子どもの看護教育については,現時点,教育内容や授業法について検討の課題の大きい分野である。また近年,コンビュータの普及に伴い,看護教育用 CAI(Computer Assisted Instruction)の開発やマルチメディア使用の有用性が報告されている。よって今回,「予後不良の子どもの看護」に関する看護教育用CD-ROM教材を開発し,その教材を使用した授業実践の評価により教材の有用性を明らかにすることを目的とする。
【研究方法】
教材の開発のプロセス: 教材内容は,小児看護学の代表的な教科書で取り扱われているテーマや,研究報告,最近の話題を加え,8テーマ30場面で構成した。また、小児病棟の看護師や小児がんで子どもを亡した母親の体験談を盛り込んだ。制作は,市販のプレゼンテーションソフト(Power Point)を用い,使用許可を得たフリー素材を利用し,アニメーション効果やリンク機能の工夫を試みた。
授業実践 1.授業対象:N看護短期大学2年生。1回目108名,2回目97名。 2.授業日:1回目 2001年12月3日,2回目 2002年11月5日。 3.授業方法:ノートPCにマルチメディアプロジェクターを接続し,スタリーンに映写しながら一斉授業の形式で90分授業を展開した。1回目の授業は,主として発問と説明,展開した.2回目は,ワークシートとディスカッションを加え,改良して展開した。分析方法:講義を受講し,研究に同意を得た学生を対象とした。授業評価アンケートと学生レポートを,評定尺度法とKJ法により分析を行った。
【結果及び考秦】
1.授業評価アンケート アンケートは5つの大項目と25の小項目により構成した.0~4の5段階評定尺度とし,平均得点を求めた。評価項目の平均得点は,1回目3.59, 2回目3.52であった.2回の授業実践の有意差はなかった。評定尺度の「非常にそう思う」「そう思う」を合わせると,90%以上の回答が得られ,教材及び授業に対して高い評価が得られた。
2.学生レポート 「子どものターミナルケア」についての自由記載によるレポートから,キーワードを抽出し,KJ法によりカテゴリー分類した。 講義前の学生は,子どものターミナルケアを自分とは関係が薄い第三者的な立場で捉えていたが,講義後は,自分自身を子どもに関わる看護師として認識していた。このことから,授業目標が達成は高いと考えられる。さらに,本授業を通して,自分の命や生き方について考える機会を提供できたと考えられた。
【結論】1.学生のレディネスや教育目標に合わせた独自の開発教材とプロジェクターを使用した授業は,講義内容の理解を容易にし,興味関心を引き出すことに有効であった。2.学生は,看護者の役割として子どもや家族と真剣に誠実に向き合うことの大切さを理解できたと捉えられた事から,本教材を用いた授業は有効であったと考えられた。3.授業時間の不足の問題から,ターミナルケア教育のカリキュラムの系統性・段階的な再編成の必要を感じた。