日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第46回日本家庭科教育学会大会
セッションID: 78
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2003年度例会研究発表
中等学校家庭科授業開発研究(第1報)
-中学生に対するFlour Baby Projectの実践と検討-
*三浦 聖子原田 省吾佐藤 園
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抄録
1.目的  わが国では、社会の急速な変化に伴い、21世紀を展望した学校教育改革が進められてきた。その中で、家庭科の学習指導要領改訂に最も影響を及ぼしたものに、少子化の進行がある。 この社会問題に教育としてどう対応するかを検討するために、中央教育審議会は、平成10年12月に「少子化と教育に関する小委員会」を設置した。平成12年4月に公刊された最終報告「少子化と教育」では、小学校以降の学校教育において、男女の平等に関する学習、将来の親として必要な基礎・基本の習得、子育ての意義や在り方、家庭を持つことの重要性について理解を深める学習が重要であり、それに対する家庭科での対応が求められた。 これに呼応するように、家庭科の学習指導要領においても、各学校段階で家族・保育に関する内容を重視する改訂がなされた。特に、従来選択領域として「保育」が位置づけられていた中学校では、家庭分野の「B 家族と家庭生活」の中に「(2)幼児の発達と家族」が必修内容として、「(5)幼児の生活と幼児との触れ合い」が選択内容として設定された。 しかし、現在行われている保育学習には2つの問題がある。第一は、教師側の困惑で、保育学習が以前は選択内容であったために指導経験が少ないことに起因するものである。これは、第二の、日常生活において乳幼児と関わる機会がもてない生徒の側の現状と重なり、本来は幼児の成長・発達を考えることにより生徒の自己理解をめざすべき学習が、単なるおもちゃ・おやつ作りに終わってしまうという問題を生じている。それを解決するために、保育園や幼稚園への見学を取り入れ、大きな成果をあげている実践報告もなされているが、これを全ての学校で実施することは困難な現実がある。これらのことから、本研究では、全ての生徒が乳幼児との関わりを経験する中で自分が親になるということを考え、自己理解を図る授業の開発が必要であると考えた。本発表では、この問題を解決する一つの事例として、アメリカのミドルスクールで実践されている“Flour Baby Project”(以下、FBPと記す)に着目し、我が国の中学校におけるFBP実践の意義とFlour Baby(以下、FBと記す)の教材としての有効性を検討したい。  
2.方法 (1) FB養育ルールを作成し、FBを養育する経験とそれを通して生徒に考えさせるべき問いを設定する。 
(2)(1)に従い実践を行う。実践の対象者は、岡山大学教育学部附属中学校で2003年度の「幼児の生活環境作りに挑戦するプロジェクト~幼児や幼児に関わる人々に喜んでもらえる企画を計画し実践しよう~」を履修している生徒(第2学年女子20名)で、実施期間は2003年9月3日(14:00~15:30)と10日(14:00~15:30)の2日間である。   
(3) 実践の結果から、FBPの意義とFBの教材としての有効性を検討する。 
3.結果 (1) FB養育に関するルールや質問項目は、アメリカカンザス州のミドルスクールの家庭科で実践されているFBPと岡山大学教育学部生・院生を対象に行ったFBPの先行研究から作成した。FBは1980年代にアメリカで10代の妊娠が社会問題になった時に家庭科に取り入れられたプロジェクトである。しかし、現在においても生徒に「自分が親になることの責任」を実際の経験を通して考えることができるプロジェクトとして実施されている。この実践を大学生を対象に行った結果、FBの養育経験を通して、自分の成長と家族との関わりや親になる責任について考えていた。この結果をふまえ、中学生に対する質問項目を、「FBと出会った時点での気持ち」5問、「FBと共に活動して感じたこと」21問、「FBと別れる時の気持ち」5問、「プロジェクト終了後の生活」5問と「自由記述」1問の計37問を設定した。  
(2) 実践に関しては、中学校との打ち合わせを行い、準備を進めている。実践とその検討については、当日報告したいと考えている。
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© 2003 日本家庭科教育学会
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