抄録
<目的> 日本家庭科教育学会が2002年に実施した「家庭生活についての調査」について、東北地区では、地区の特徴を明確にし、今後の家庭科教育に生かすことを目的としてデータを分析している(第3報までは2003年7月大会にて口頭発表済み)。本報では、対象を高校生に絞り、意識や実態の特徴を探るものである。特に、「生活の自立」状況や家庭生活に対する意識などを重点的に分析する。
<方法> 2002年実施の「家庭生活についての調査」(小4,6,中2,高2年生対象)のうち、東北6県の高校生1,363名のデータを対象とした。なお、地域区分は東北地区独自に設定したものを使用する。すなわち、地方中核都市を地域?、地方中核都市からは離れていて通学圏も独自に持っている地方都市を地域?、町村部を地域?とする。
<結果> 1.生活の自立に関する内容 (1) 家の仕事への参加程度を尋ねる設問(問4-1)において、アからクまでの8項目を「衣食の自立」群とし、スからツまでの6項目を「社会的自立」群、両方を合わせた14項目を「生活の自立」群として分類し、「いつもする」と「ときどきする」に○印を付けた項目数を個人ごとにカウントした。分析には○印1つを1点として得点化したものを用いる。その結果、「衣食の自立」群のほうが「社会的自立」群よりも得点が高かった。また、女子の方が男子に比べて得点が高く、特に「衣食の自立」群で顕著である。地域別では地域?の得点が高く、地域?の得点が低かった。
(2) 得点の分布状況と平均値を考慮して、全体を3分割し、自立度の高い方から高群、中群、低群と分類した。高群には「衣食の自立」群、「社会的自立」群、「生活の自立」群共に男子より女子の方が多く占めており、逆に低群では女子より男子の方が多く、「衣食の自立」群において顕著である。地域別では、地域?は高群の占める割合が高く、地域?では低群の占める割合が高かった。
(3) 「衣食の自立」の高群、中群、低群と父親の食事の用意をする程度との関係を見たところ、父親が食事の用意を全くしない場合、男子は「衣食の自立」の低群に多く、女子は「衣食の自立」の高群に多かった。このことから、父親の家事参加度が子どもの性別役割意識に影響を与えている可能性が示唆された。
(4) 「もっと上手にできるようになりたいこと」(問4-2)は、1位が「フライパンやなべを使って料理をする」、2位は「ほうちょうで食べ物を切る」、3位は「家族の夕食を作る」であった。いずれの項目も女子のほうが多い。「家族の夕食を作る」は特に男女差が顕著である。それらの項目の「もっとできるようになりたい理由」では、「男・女だから」、「大人になったら必要」の男女差が大きく、女子の方が高率であった。ここでも女子は性別役割意識を持っていることがうかがえる。
2. 家庭の働きに関する内容 家庭の働きのうち大切だと思うもの(問10-1)は、「家族みんなが楽しく暮らす」が最も多く、ついで「寝たり休んだりする」、「子どもを生み育てる」である。男女差が最も大きいのは「家族みんなが楽しくくらす」であり、女子の方が高率であった。「子どもを生み育てる」も女子の方が高率であり、男子が高率の項目は「寝たり休んだりする」であった。問10-2の「あなたの家庭にもっと望むもの」は、1位が「お金がたくさんある」2位は「寝たり休んだりする」、3位は「家族みんなが楽しくくらす」であった。なお、2位は男子が女子より多く、3位は女子が男子より多く、家庭の働きや家庭に望むものに性差が見られた。