抄録
【課題の設定】 本研究は、カリキュラム・アーティキュレーションの視点から、小・中・高一貫教育に対応した学習内容の最適化の解明をはかった家庭科のカリキュラム開発を目的とする。 現在、米国各州においては初等学校高学年5・6学年から中学校2学年までを統合した学校形態としてミドルスクールが大半を占めるほど一般化してきている。一方、日本においては平成10年度公布の学校教育法を一部改正する法律により中・高を統合した中等学校が法的に認められた。それをもとに公立学校や国立大学附属学校では既存の中学校と高等学校を統合した中等教育学校設置されてきた。それに加え、最近では、従来の6・3・3の学制を根本的に見直す小・中一貫教育や中・高一貫教育の学校改革が全国各地で進行している。しかし、その実態としてのカリキュラム開発研究は、今なお十分な成果が上げられていない現状にある。 その問題の根幹は、現行の「小・中の義務教育としての一貫性」と「中・高の中等教育としての一貫性」に二つのカリキュラムの系統性の問題を別々に論じてきたことになる。 それゆえ、本研究では、小・中・高の一貫教育を考える際、初等・中等教育の統合というカリキュラム研究上の視点から教科のカリキュラム開発・実践教育をとらえ、家庭科のカリキュラムに切り込むことにしたい。
筑波大学は、独立行政法人化後の附属学校改革構想として全国に先駆けた小・中・高一貫教育に関する研究を積み上げてきた。附属学校では、これまでにも、研究上の各教科の小・中・高の教育を視野に入れた共同研究のみならず、教師、児童・生徒の日常的な交流も盛んな学校風土を特徴とする。 本研究は、これまでの研究を支えた実践研究交流を基礎に附属学校と大学が共同で行っている家庭科のカリキュラム開発研究である。本発表は、その中間的な報告である。 以下、本発表では、単なるプランの提示に留まらず、最終的にはカリキュラムの研修を含むカリキュラム評価までつながる一連の研究プロセスとして継続させていく本研究全体の構想を明らかにし、カリキュラム研究の視点を持った家庭科のカリキュラム開発の枠組みと方法について示す(第1報)。 続く、第2報では、具体的な調査結果に基づいた考察により、カリキュラム内容の検討を行う。 詳細は、当日の発表資料参照のこと。
本研究にあっては、平成15~17年度 科研費研究「小・中・高一貫制にもとづく教科・教科外のカリキュラム開発研究」基盤研究B(2)・課題研究番号15330184・研究代表者 桑原隆(筑波大学教育系)の一部を使用した。