抄録
【目的】
戦後から現在までの家庭科学習指導要領における高齢者介護、男女の協力に関する記述の変遷を明らかにする。
【方法】
昭和22年学習指導要領(試案)以降の家庭科学習指導要領から、?老人、高齢者、福祉、介護、?男女の役割、協力についての用語と記述を、関連法令等と関連させて検討する。
【結果】
?昭和45年以前は老人、平成元年以降は高齢者の語が用いられ、語句の明確かつ完全な転換がみられる。文部(科学)白書、厚生白書では平成以降、高齢者の使用頻度が多いが、老人と高齢者が混用されている。
?高齢者介護は昭和22年試案第6学年の「老人の世話」以降、平成元年までみられない。老人の栄養、老人の健康に関しては、高校「食物」「衛生」「保育・家族」、中学「食物」で散見される。
?平成元年高校に設けられた「高齢者の生活と福祉」の項は平成11年高校に踏襲され、かつ家庭総合に「高齢者の介護の基礎」があらわれた。これは、文部科学白書や厚生白書における高齢者介護やボランティア活動の推進に関する記述の増加と対応しており、福祉八法の改正や介護保険法の成立が背景となっている。
?昭和22年試案に第5、6学年における家庭科男女共修の趣旨は「女子教育刷新要綱」に対応するが、指導内容の記述には男女別の記載がみられる。
?平成11年にみられる「男女協力」の記述は、男女共同参画社会基本法の成立過程と密接な関連がある。