抄録
【目的】本研究では、第1報での高校生の実態調査をもとに「ジェンダーに気づく」授業を立案し、異なる授業形態で実践・分析し、これらの結果からジェンダー学習に必要な要素について検証するとともにジェンダー学習の階層化を行うことを目的とした。
【異なる授業形態にみる“ジェンダーに気づく”授業実践】(1)実践方法
青森県立C高等学校2年生に「家事及び職業労働について」の授業実践を行った。一斉学習は2002年10月25日にA組39名(男19名、女20名)を対象にし、グループ学習は2002年10月16日にB組40名(男20名、女20名)を対象に筆者が授業を行った。なお、生徒が始めにもっていた家事及び職業労働観を『職業観(前)』、授業後の家事及び職業労働観を『職業観(後)』、および授業後約2か月後の家事及び職業労働観を『職業観2か月後』とし、ジェンダー観を分析した。
(2)結果および考察
1)“ジェンダーに気づく授業”に有効な授業形態
2つのクラスにおける授業後のバイアスからフリーへの変化の割合(一斉学習では56.3%(9名)、グループ学習では42.8%(3名)、事後アンケートにおける生徒の学習評価、および生徒の感想などを比較すると、全てにおいて一斉学習の方が学習効果が高くなった。これは一斉学習では筆者が意図した「生徒自身が考えることのできる授業」ができたためと考える。一方グループ学習では、学校の中での固定された人間関係の中で生徒が自分自身の考えを話し合い、かつ学び合うことの難しさも明らかになった。
2)ジェンダー観の変化
『職業観(前)』から『職業観(後)』へのフリーの割合は、一斉学習、グループ学習とも増加した。しかし、『職業観2か月後』では、『職業観(後)』に比べて一斉学習では12.4累課Aグループ学習では14.8累課黷鼬Bつまり、授業によってフリーに変化しそのままフリーに定着した生徒(7名)もいたが、バイアスのジェンダー観にもどった生徒(5名)もみられた。
3)ジェンダーに気づく授業に必要な要素の検証
授業の感想の中に、教材について記入のあった人数と生徒の気持ちに『揺らぎ』のあった人数を比較することにより、「生徒の持っている規範とは反対あるいは異なるものを提示」できたかどうかを検証した。グループ学習を行ったクラスでは、「グループ学習」と記述のあった生徒は9名と多かったが、『職業観(前)』で生徒の82.1%がフリーだったことから、グループの中に自分と違う考えの生徒がいないという理由などから感想の中に『揺らぎ』がみられた生徒は少なく、グループ学習での討議は「生徒の持っている規範とは反対あるいは異なるもの」の提示にはならなかったことが明らかとなった。その結果『揺らぎ』のみられた生徒は、一斉学習では10名、グループ学習では2名となった。これより、「生徒の持っている規範と反対あるいは異なるもの」を提示することは生徒の気持ちの『揺らぎ』につながり、ジェンダーに気づく授業に有効であることが検証された。
4)ジェンダー学習の階層化
次に生徒の感想に書かれている言葉等を分析し、5つのカテゴリー、つまり、「体験としての快さ」、「自分へのフィードバック」、「概念・知識の獲得」、「自己規範の形成」、「行動への意欲」に分類し、ジェンダー学習に関する階層化を試みた。さらに、これらに生徒の感想を当てはめたところ、一斉学習の方が上位のカテゴリーの人数が多くみられ、この結果はこれまでの分析結果と一致した。