日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第47回日本家庭科教育学会大会
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第47回大会ポスター発表
家庭科カリキュラムにおける授業実践の理論化の試み
荒井 紀子神川 康子鈴木 真由子得丸 定子松岡 英子綿引 伴子
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p. 43

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抄録
【研究目的】北陸地区家庭科カリキュラム研究会では、2000年4月以降3年間にわたる研究成果を『生活主体を育む家庭科カリキュラムの理論と実践』としてまとめ、報告書として発行した(2003年6月)。その第1部で述べているように、研究の総括的な目的は「生活のさまざまな問題に主体的に取り組む子どもの自立力や問題解決力を育む家庭科カリキュラムについて、理論的な枠組みを構想、提示するとともに、枠組みに沿った授業開発を行い、理論と実践をつなげた包括的なカリキュラム研究を試みる」ことである。具体的には、カリキュラムに関する先行理論研究や授業実践の問題点を抽出したのち、北陸地区独自のカリキュラム構想の理論的整理を行った。さらに、そのカリキュラム構想に沿った授業プランの作成、授業の実践、授業の振り返りを実施し、カリキュラムの整合性を検討した。研究会では、理論の実践化とともに、実践の理論化、すなわち実際に行った授業そのものを対象化し、学習課題との関係等についても検討した。本報告では実践した授業を分析し、その理論的な意味付けを試みることを目的とする。
【研究方法】(1)分析対象 分析の対象は、「?個人・家族の発達と福祉」に関わる11実践(小学校2実践、中学校3実践、高等学校6実践)と、「?生活資源と暮らしの営み」に関わる8実践(小学校1実践、中学校5実践、高等学校2実践)の、合計19実践である。2)分析の視点 分析の視点は、?学習課題、?育てたい能力、?学習の視野と深まりの方向性の3点である。設定した学習課題は、「A生活を自立的に営む」「B生活に主体的に関わる」「C平等な関係を築きともに生きる」「D生活を楽しみ・味わい・つくる」の4つのコンセプトで、何を重視したのか整理した。育てたい能力は、「技術・技能」「認知」「情意」の3項目について、授業前の計画段階における想定と授業後の結果を比較した。また、学習の視野を縦軸に、学習の深まりを横軸に学びの構造図を作成し、授業の方向性を確認した。
【研究結果】学習課題については、「?個人・家族の発達と福祉」に関わる実践はA・Cを、「?生活資源と暮らしの営み」に関わる実践はA・Bをメインに設定する傾向にあった。育てたい能力については、“話し合い”や“インタビュー”のように、授業方法に採り入れたスキルとの関連で「技術・技能(コミュニケーション力)」を捉える実践が多かった。また、?ではすべての実践で「情意」が重視されていたが、?では、その傾向はみられなかった。「認知(理論的思考力)」の育成は、?では収集した情報や話し合いの結果を応用した力として、?では消費者教育的内容として重視されていた。授業前後を比較すると、?に関わる実践は相対的に変化する傾向がみられた。中でも、「情意」を重視した実践における変化が目立った。自己理解や他者への関心・受容といった「情意」の育成を目指した実践では、児童・生徒の実態を捉えながら柔軟に授業をつくりかえている様子がうかがえた。学習の視野は、「自分自身や日常のくらし」から「他の人・地域・社会的問題」へ、もしくは両者を往復させる方向で展開する例が多かった。
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© 2004 日本家庭科教育学会
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