日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第47回日本家庭科教育学会大会
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第47回大会ポスター発表
高校生の家庭科教育における実践的課題の必要性
鈴木 昌代
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p. 42

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抄録
【目的】最近、青少年のマナーや規範意識の低下が社会的問題になっている。また青少年の犯罪が低年齢化し、かつ増加傾向にあることからも、それぞれの家庭における教育のあり方が問われる状況にある。若者には夢や目標を抱きにくいとする風潮があり、青少年を育成する地域力の低下も拍車をかけている。このような状況下にある青少年は、将来同じ家庭生活を再生産させる危険性が高く、よりよい家庭生活を築けるとは言い難い。したがって、青年期には将来のライフプランを多様な角度からしっかり考えさせる教育が必要であり、それは家庭科教育に求められると考える。以前鈴木らは、小学生を対象に家庭生活に関する認識の変化を10年ごとに比較した。その結果、小学校の段階では親子の関係が密接であり、さらにコミュニケーションの割合も高いことがわかった。そこで本研究では、青少年の意識の中に上記のような家庭に依存する意識が薄れ、親子の関係がいつ頃から希薄になっているのかを調べるため、中・高校生に家庭生活に関する意識調査を行った。その結果から問題点を明らかにし、それを改善させるために、どのような実践的教育課題が有効であるのかを考察した。
【方法】高校生の家庭生活の過ごし方と、その意識を把握するためにアンケート調査を行った。さらにこれらを中学生と比較した。調査対象校は、富山市の南西部に隣接する婦負郡婦中町の高等学校1校とそこに隣接する中学校1校を選定した。発達段階の差が顕著になるように、それぞれ2・3年生を対象にした。調査方法は、2001年9月に日本家庭科教育学会が全国規模で実施した調査「現代の子どもたちは家庭生活をどう見ているか」を参考にした。さらに、祖父母の存在が家庭教育に影響を与える可能性も高いと考えられるため、高校生をとりまく家庭環境についても調査した。調査時期は2002年5月、クラスごとの集団質問紙法によって行った。なお、これらはSPSSで集計し、χ2検定により有意差検定を行った。
【結果】アンケート調査の結果、次のことが明らかになった。(1)休日の過ごし方は、中学生に比べて、高校生は家族と過ごす時間が少なく、約10%しかいない。(2)休日一緒にいたい人は高校生で「友人」を望む者が80%にのぼる。「母親」を望む者は高2で7.3%、高3では4.2%と低い。(3)一緒にいて安らぐ人や悩み事を相談する相手は、中・高校生共に「友人」である。特に高3ではその割合が高く72.3%であった。(4)自分の身の回りのことについては、中学生も高校生も70%以上の生徒が自分の部屋の掃除をよく行っていた。(5)家庭生活に望むことは、「十分な休息」と「好きなことをしたい」と回答した生徒が多く、高校生ではその合計が80%以上だった。以上のことから、家族と孤立する時期は高校に入ってからであり、家族からの教育や価値観を受け入れることができない状態にある。しかし将来理想とする家庭像については、親子とのふれあいが多く、何でも分かり合える親子関係等の希望を挙げていた。すなわちそれは、現在の生活の形とは違う家庭を望む高校生が多く、40%以上を占めていた。そこで家庭科教育として?の結果を基に家族と積極的に関わる課題を与えることが必要であると思われる。実際に授業で自分以外の家族の状況を知り、家族・家庭のあり方を模索する機会を与えることが重要である。家事労働等の実践的課題を通して会話を増やすことは家族との信頼関係を深めるのみでなく、自立支援をしながら将来の家庭を創造する過程で最も近道であると考える。
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© 2004 日本家庭科教育学会
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