日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第49回日本家庭科教育学会大会
セッションID: 13
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第49回大会 口頭発表
小学校家庭科学習が児童の食意識に及ぼす影響(第1報)
―食意識からみる学年の相違および学習効果の分析―
*齋藤 尚子日景 弥生
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抄録

【1 はじめに】
 最近、幼少時からの食育が注目されているが、現在小学生の食教育の中心は家庭科食物分野の学習と考える。そこで、効果的な食知識・食行動の定着が期待できる授業および授業計画の構築を目的として、家庭科学習が児童の食意識へ及ぼす影響について検討を行った。
【2 研究方法】
1)調査時期
 平成17年度の授業開始まもない平成17年6月(6月調査)および、授業計画終了後の平成18年3月(3月調査)とした。
2)調査対象および調査方法
 青森県H市A小学校5、6年生を対象とし質問紙調査を実施した。調査人数は計254名(5、6年:各127名)であった。6月調査における回収数は253名(99.6%)、うち有効回答数は218名(85.8%)であった。同様に3月調査では、239名(94.1%)、199名(78.3%)であった。
 6月調査では、市販と手作りのどちらの弁当を食べたいか、ならびにその理由について調査した。食べたい理由については自由記述とした。
 一方、3月調査の項目は、6月調査の結果をふまえた食生活全般にかかわるものとした。中でも主に食事のマネジメントにかかわる項目を抽出、精選して質問紙を構成した。項目数は24項目とし、「とてもそう思う」「そう思う」「あまりそう思わない」「そう思わない」の4段階から1つを選択させた。
3)分析方法
 6月調査および3月調査ともに詳細な分析を行った。また、3月調査では関連する項目どうしのクロス集計を行い、分析した。
【3 結果および考察】
1)食べたい弁当とその理由(6月調査)
 約90%の児童が食べたい弁当に「手作り」を選択した。学年による差はみられなかった。「手作り」を選択した主な理由として、「おいしい」「好きなおかずが入っている」という弁当の内容に関する記述が多くみられた。食事計画をたてる際に重要となる、「時間」「金銭」「労力」に関する記述はほとんどみられなかった。
2)食生活全般に関する意識(3月調査)
 児童の約80%は「食べることが好き」と回答したが、このことと「調理実習で作ったものを家で作る」「家で食事をよく作る(手伝う)」こととの関連はみられなかった。しかし「家で食事をよく作る(手伝う)」と回答したものは、5年生(62.7%)の方が6年生(44.5%)よりも多かった。同様に5年生の85.3%は「食事作りを楽しい」ととらえていたが、6年生では65.6%であった。また、5年生の方が「加工食品を食べたくない」とする回答数が多かった(5年:31.2%、6年:16.6%)。「家で後片付けをよくする(手伝う)」(約67%)、「バランスの取れた食事をとることは大切」(約95%)、「手作りはおいしい」(約83%)では学年による差はみられなかった。
3)食事マネジメントについての意識(3月調査)
 「食事計画」「時間」「労力」「金銭」に関する項目において、学年による意識の相違はみられなかった。しかし、「後片付けは大変」の項目において5年生の方が6年生と比較して「大変」ととらえる割合が小さかった(5年:59.6%、6年:73.3%)。さらに、最終的に5年生の約70%は「どんなときでも手作りの食事を食べたい」としていた(6年:50.0%)。
 以上より、家庭科導入段階の5年生の方が食事作りの手伝いを通して手作りを肯定的に認識し、どんなときでも手作りを食べたいと考えていることが示唆された。一方、6年生は手作りを食べたいとしつつも、「労力」等が少なからず意識に反映されていることがわかった。学習や日常の実践の蓄積から、食事作りを徐々に自身の生活の中で総合的に考え始めていることが推察された。
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© 2006 日本家庭科教育学会
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