抄録
【目的】
インターネットを代表とするメディアの発達により、大量の情報を多様な方法で獲得できるようになり、生活の利便性が向上している。その一方、膨大な情報の中から自分が必要な情報を取捨選択する能力、情報の真偽性を見極める能力が今まで以上に必要になる。このような状況は小学生にも及んでいるが、小学生は成人に比べ情報の影響を受けやすく、多面的な見方がまだ育っていない。そこで、小学生が取得している生活情報の内容や獲得方法などの実態から問題点を明らかにして、それを解決する方法を探る必要がある。しかし、小学生を対象とした生活情報の取得に関しての実態調査はあまり見あたらない。また、生活情報教育は小学校学習指導要領に位置づけられておらず、小学生の実態に合った教材が十分には整っていない。
そこで、本研究は、小学校高学年児童の日常生活で取得している生活情報の内容や獲得方法の実態、生活情報に対する評価や今後の希望の実態を調査により明らかにすることを目的とする。その際、属性と関連させて検討し、これらの結果を生活情報教育の教材開発に資することとする。
【方法】
2004(平成16)年11月~12月に新潟県上越、下越地方の7小学校5、6年生586名を対象に質問紙集団実施法による実態調査を行った。
調査内容は「取得している生活情報の内容」「取得している生活情報の獲得方法」「取得している生活情報の評価」「今後取得を希望する生活情報」とした。
分析方法は、 単純集計の他、取得している生活情報、生活情報の評価、今後取得を希望する生活情報の実態を属性と関連させて視覚的に明らかにするためにコレスポンデンス分析を行った。また、取得している生活情報と今後希望する生活情報の関係を明らかにするため、相関分析を行った。
【結果】
本対象児童が取得している生活情報としては、「天気予報」「マンガ・アニメ」「災害」が多かった。男女別の比較では、女子は「占い」「芸能人」など情報そのものを楽しむ内容を多く取得しており、男子は「テレビゲーム」「スポーツ」などその情報を利用して自分が楽しむ内容を多く取得していた。地域間の比較では、郡部の児童が消費に関する情報を多く取得しており、生活情報の取得実態には、男女、地域によって違いがあることが明らかになった。
生活情報を獲得する方法としては、多くの児童がテレビを利用して生活情報を獲得していることが明らかになった。また、生活情報別に獲得方法を比較した結果、生活情報の内容によって、獲得してるメディアが違うことが示唆された。
生活情報に対する評価としては、「テレビゲーム」の情報が最も満足と回答した割合が高く、「占い」の情報が最も不満と回答した割合が高かった。属性別の特徴として、男子が満足と感じる情報には、学年、地域の差があまりなく、女子は学年や地域によって満足と感じる情報に違う傾向が見られた。また、生活情報の不満に対しては、属性での違いが見られなかった。なお、自由記述から、本対象児童が求めている生活情報の条件として、「詳しい」「多い」「最新」であることが示唆された。
今後取得を希望する生活情報としては、現在多く取得している生活情報を希望する傾向であった。そこで、現在取得している生活情報の割合と今後の希望の割合について相関分析を行った結果、両者に強い相関が見られ、現在多く取得している生活情報ほど、今後の希望も高いことが明らかになった。また、「新製品」の情報は、取得の割合に比べて希望の割合が高く、本対象児童は、今後、新製品の情報を必要と感じていることが明らかになった。