日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第49回日本家庭科教育学会大会
セッションID: 43
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第49回大会 口頭発表
家庭科教員養成における教育法プログラムの検討
- 授業実践力の意識化と家庭科授業に対する評価内容の変容 -
*高木 幸子
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抄録

【目的】
 社会の変化が著しい中で、これからの家庭科教師には、家庭科教師として必要とされる力を意識し、児童生徒がこれからの社会を生きるために必要な課題を考えたり、自分自身や取り巻く家族の生活を見直し改善していける力を付けたりしていくことのできる授業を構想・実践する力が必要である。
 2004年度に実施した2回の模擬授業を組み込んだ家庭科教育法3プログラムの実践により、学生が経験や実感を共有できる実践・評価の場は、学生にとって新しい考えやアイデアに出会う場となっており、他の学生の授業を評価し、評価を受けることは、家庭科教師として必要な知識や技術を意識化するきっかけとなっていると思われた。そこで、2004年度実施のプログラムを基本として、学生への授業実践力の意識化を図る方策を組込み実践した。そして、2回の模擬授業実践に対する相互評価の記述を中心に2004年度実践と比較し、授業実践力の意識化を図ることによる本プログラムの有効性を検討する。
【方法】
(1)教育法プログラムの検討
 2004年度実践の成果と課題を基に、2005年度実施の教育法3プログラムを再構築する。
(2)教育法プログラムの実施と2004年度実践との比較
 教育法プログラムを実施(授業科目は中等家庭科教育法3、教職に関する科目:2単位、2005年4月―7月)する。対象は、3年次生28名で、模擬授業は3~4名のグループを単位として行う。
 2004年度実践との比較は、2回の模擬授業後に行った相互評価結果を対象に記述数と記述内容から比較する。なお、記述内容は、授業実践力に対応させた分類とともに、記述内容を課題に気付く段階から具体的な改善策を記述できる段階までの4段階に分類し検討する。
【結果】
(1)授業実践力を意識化するための方策
 中等家庭科教育法3プログラムで付けたい力として「授業を構想し実践する力」、「授業の課題を見出し改善の糸口を見つける力」の2つを設定し、支える授業実践力の具体的指標を10示した。また、第1回目の模擬授業後の相互評価を基に各グループが課題や改善策を協議する段階で、この指標を基に検討を進めるようにした。
(2)2004年度実践との比較検討
 第1回目の模擬授業後の相互評価で、授業構成に関連する課題(目標設定や内容・レベル)の記述が多い点は共通であった。また、第2回目の模擬授業に向けて認識した課題は、2005年度実践の方が、課題を広く認識していた。この違いは、模擬授業の評価結果が書かれた付箋紙を分類している記録から、最初に提示した10の指標を基に、より客観的な分析が行えたためと推察された。
   第2回目の模擬授業後の相互評価の記述を4段階に分類し比較した結果、改善が難しいと思われる点に関して、2005年度実践では、具体的な課題を指摘する記述が増え、改善策を示すことのできる段階(例「生徒に悪徳商法を調べさせても良かった」「活動後に教師が名称を出す流れが良かったと思うが、あらかじめ3つの名称を出しておいて、どこに入るかを考えさせても良かった」等)の記述も20例(全体記述80)見られた。
 学生への授業実践力の意識化を図ることにより、学生の授業を評価する目を安定させた。また、学生の記述内容から、課題を指摘する評価からどのように改善したらより良い授業になるかをともに考える評価へと質的な向上が伺えた。
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© 2006 日本家庭科教育学会
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