日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第49回日本家庭科教育学会大会
セッションID: P-5
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第49回大会 ポスター発表
携帯電話に対する女子大学生の意識
*佐藤 真弓関根 田欣子
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抄録


【1.目的】
 携帯電話は、重要な道具として中高生の日常生活に浸透しつつある。家庭科教育で携帯電話を取り上げる目的として、より良い人間関係を築き、家族の安全を守り、生活時間の効率化や生活情報に関する利用法の向上などがあり、消費者教育の視点からも重要である。
 携帯電話に関する効果的な教育方法を探るため、まず携帯電話使用がもたらす人間の感情、意識面への影響を知ることは必要であると考える。それらを知る一つの試みとして、携帯電話を頻繁に使用していると推測される女子大学生が、携帯電話をどういう存在として意識しているか、明らかにすることを目的とした。
【2.方法】
 都内のO女子大・短大の1、2年生計153人に対し、平成17年6月上旬、質問紙を配布、記入後回収した。質問内容は問1、携帯電話を持つようになって何年何ヶ月ですか。問2、携帯電話はあなたにとってどんな存在ですか、の2問である。問1の回答に関しては単純集計を行いこの集団の携帯電話使用歴年数の傾向をみた。問2では自由記述の回答から言葉を抽出しそれらをKJ法に従って整理・分類することにより、携帯電話に対する意識の傾向をみた。
【3.結果】
 女子大学生の携帯電話使用歴年数は、平均4.5年であった。最長は8年、最短で1年3ヶ月である。98%の学生が3年以上使用していることから、中、高校生活でも多くの者が携帯電話を使用していることがわかった。 「携帯電話はあなたにとってどんな存在ですか」の質問に対する自由回答で得られた言葉を抽出し、携帯電話の重要性、有用性への意識が積極的・肯定的か、或いは消極的・否定的かという指標をとらえた。一方、携帯電話を道具として理性的・客観的にとらえるか、或いは心情的・感情的にとらえるかという指標を持ちながら整理・分類したところ、いくつかのグループに分類し、分布図に表すことができた。
 自由記述で、最初に述べられた言葉のみを整理分類すると、携帯電話の重要性、有用性について積極的・肯定的に意識している言葉が大部分を占め、否定的な言葉は少数(5.9%)であった。また、積極的肯定の言葉群を、携帯電話の存在をより心情的に感情的にとらえているものから、携帯電話の存在をより道具的に客観的にとらえているものまで4段階のグループに分類することができた。
 携帯電話を一番心情的にとらえており、携帯電話に依存していると思われるのが、『依存グループ』で、全体の11.1%であった。『愛着グループ』で全体の9.2%だった。『なくてはならないグループ』(22.2%)で、最も携帯電話を道具的に理性的にとらえている『便利グループ』は、一番数量的には大きな集団で全体の28.1%であった。さらに『手段グループ』(22.2%)があった。携帯電話は生活を快適・円滑に行うための道具(コミュニケーションツール)であり、重要だと考えている学生が多い傾向にあり、携帯電話への依存症は少ないことがわかった。
 今後、家族や友人関係の意識の変化に影響を及ぼす兆候があるか、携帯電話で高まる能力があるか、あるいは家庭科教育における効果的な教育方法について検証していきたい。

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© 2006 日本家庭科教育学会
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