日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第53回大会・2010例会
セッションID: A1-1
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口頭発表
高等学校における栄養バランスの良い食事に関する指導方法の比較
~栄養素・食品・料理・食事のつながりの理解を求めて~
*佐藤 真紀子
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抄録
【目的】 家庭科において栄養バランスのよい食事を指導する際の課題として、献立作成の能力に小・中・高の段階を経た学習の効果が明確に見出せない、食べ物と栄養素は結びついているが栄養素の働きは不十分、不足している栄養素を補う献立を考えることや栄養や献立の知識を調理などの実践に結び付けることに課題があるといった知識のつながりや系統性に関する指摘がある。題材の構成にあたっては、内容相互の関連を図り、指導の効果を高めることとされているが、この点がまだ十分機能していない原因として、栄養バランスの良い食事について指導するツールが一貫していない、学んだ事柄が生活と結びつきにくい、栄養素や調理についての学習が単発的であることなどが考えられる。<BR>  栄養バランスの良い食事を指導するツールとして、食事バランスガイドのような料理ベースでバランスを考えさせる指導方法、食品群を用いた食品ベースによる指導方法、食事摂取基準を用いた栄養計算による栄養素ベースによる指導方法などがあり、いずれも理解できる知識の範囲とそれに適した生徒の発達段階や状況があると考えられるが、食事バランスガイド゛は提唱されたばかりなので高等学校での実践研究例はあまり見られず、また他の方法についても個別には研究されているものの、指導方法による違いを比較した研究はあまりみられない。そこで、どのような指導方法がどの段階・状況に適しているのかを整理することを目的として本研究を実施する。本研究においてはそれぞれの学習ツールとして、料理ベースの指導方法についてはまだ活用についての検証がほとんど行われていない「食事バランスガイド」を、食品ベースの指導方法については「食品群」を、栄養素ベースの指導方法については「栄養計算ソフト」をとりあげて比較検討する。<BR> 【方法】 2009年11月~1月に東京都の公立高等学校(全日制・普通科)1校の2年生6クラス(240名)に対して家庭基礎(必修)の食生活領域の授業(全22時間)における総括の授業として、食事の栄養バランスを考えて献立作成と調理実習をする授業(22時間中の8時間)を行った。その際、料理ベース(食事バランスガイド)による指導、食品ベース(食品群)による指導、栄養素ベース(栄養計算ソフト)による指導を、学級により順序を入れ替えて同一クラスに対し2種類ずつ実施した。学習の前後に食生活に関するアンケート、知識テスト(記述とコンセプトマップ)、学習後のみに授業評価アンケート、学んだ2つのツールのうちどちらが良いかのアンケート、そのアンケートで選択したツール毎に抽出した生徒にインタビュー調査を実施した。<BR> 【結果】 いずれのツールにおいても、高校生が献立作成を行うことができた。また、学習の前後で五大栄養素の働きと名称、栄養素名と多く含む食品及びその食品を使った料理名のつながりの理解が進んでいた。「今日の授業内容は理解できたか」「楽しく学習活動ができたか」「自分から進んで学習に参加することができたか」「授業では自分なりに考える活動ができたか」「学習の内容に満足できたか」の質問に対して大変・少し・あまり・まったくの4件法で調査した結果、いずれのツールも大変・少しの肯定的回答が多く、特に食事バランスガイドでは最も肯定的な回答である「大変」を選ぶ生徒が多かった。学習ツールの選択は、食事バランスガイドが最も多く、栄養計算ソフト、食品群と続いた。それぞれのツールの選択理由としては食事バランスガイドは「簡単だから」、栄養計算ソフトと食品群は「詳しいから」を挙げる者が多かった。
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© 2010 日本家庭科教育学会
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