日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第53回大会・2010例会
セッションID: A2-1
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口頭発表
「幼児への関わり方」を学ぶ授業実践
中学生のふれ合い体験ビデオ視聴から
*金子 京子阿部 睦子倉持 清美妹尾 理子望月 一枝西岡 里奈
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抄録
問題と目的
 平成20年の学習指導要領改訂では、子どもとふれ合う活動が中学校で必修となり、ふれ合い体験を通して「幼児への関心を深め、かかわり方を工夫できること」を求めている。ふれ合い体験の効果については、様々な研究が示唆している。そのほとんどが、生徒が幼児に対する肯定的なイメージや感情を持つようになることを指摘している。しかし、実際の『かかわり方の工夫』ができるようになったかどうかを検討した研究は見あたらず、また、『かかわり方の工夫』ができるような授業実践についての検討はほとんどない。そこで本研究では、『かかわり方の工夫』ができるような授業実践を検討し、幼児とのふれ合い場面において、その効果を検討することを目的とする。
 本研究では、幼児とのふれ合い体験の事前の授業で、前年度の生徒がふれ合い体験を行った際に収録したビデオを生徒に視聴させ、どのようなかかわり方がよいかどうかを話し合った。この教材を選定した理由は、次の3点である。第1に、同じ年代の生徒が関わる様子を見せることで、実際に自分自身がどのように振る舞えばよいのかがかわりやすいこと、第2に、ふれ合っている最中に自分の行動を客観視したり幼児の様子を冷静に捉えることは難しいが、ビデオを視聴することで、幼児の様子を冷静に捉えることが可能になること、第3にクラスの中で共通の場面をみることで共通のイメージを持って話し合いができること、以上3つのメリットを考えた。
研究対象および方法
1.交流対象 本研究では、対象とする中学校が小学校低学年と交流していたため、小学生とのふれ合い体験の場面を研究対象とした。小学校年少児との交流は、幼児と変わらない効果が得られることが実証されている(倉持・金子・阿部・妹尾・望月,2009) ため、ふれ合い体験として問題ないと判断した。
2.授業内容 幼児の発達などの授業の後、ふれ合い体験を実施する事前の授業で、ビデオを視聴させ、気づいた点を記述させ、どのようなかかわり方が工夫できるかを話し合わせた。ビデオは、前年度のふれ合い体験の様子なので1時限分はあるが、教師が要所を取り上げて視聴させた。ふれ合い体験の内容は、小学生とともにおやつを作り一緒に食べるという活動で、前年度と同じ内容である。
結果と考察
ビデオを用いた授業による生徒の気づきを整理すると次の3点になった。第1に、「準備をしていないと小学生を放置する場面がある」「砂糖とか事前にはかっておいた方が作業がスムーズに行く」など、事前準備の工夫、第2には、「小学生を真ん中にたたせて、中学生は両脇に行く」「空き時間に目を離さず一緒に行動する」「中学生同士で話をするのはやめた方がよい」など、中学生の立ち位置や視線などのかかわる際の工夫、第3には、「小学生を中心に作業をさせて、中学生ばかりが作業しすぎないようにする」「小学生にやりやすい作業をさせて、できないときには補佐をする」など、調理中のかかわり方の工夫である。ビデオを視聴することで、具体的なかかわり方について検討することができていた。その後行ったおやつ作りのふれ合い体験では、事前準備をしっかりと行い、立ち位置を工夫し、調理中のかかわり方も工夫できていた。また、教師にとってのメリットもみられた。教師自身が、生徒のかかわり方に焦点化でき、「前年度と異なり、調理の手順の説明や指示などに時間を取られることが少なくなり、生徒が小学生とどのように関わっているのかをじっくり見る時間を持つことができた」と述べている。
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© 2010 日本家庭科教育学会
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